『生きることのはじまり』
著者:金滿里(きむ・まんり)
寄稿・高橋源一郎/藤本由香里
装画:ミロコマチコ
装丁:根本匠(コズフィッシュ)
*特典付録:エッセイ「生きることのはじまりと、わたしたちのはじまりと。」復刻版編集者、樋口聡(人々舎)のよる編集後記(68p)
《出版社の紹介文より》
絶望を生きるわたしたちへ。
障碍者だけのパフォーマンス集団「態変(たいへん)」の主宰者が、想像を絶する極限状況を生き延び、人間の本質を問い続けた「生きること」の物語。
朝鮮古典芸能の伝承者で、在日1世の母から生まれた著者。継承を期待されるが3歳でポリオ(小児マヒ)を発病し、首から下が全身麻痺の重度障碍者となる。苦悶に満ちた4年間の入院治療の末に退院、肢体不自由児施設での集団生活を10年間過ごす。そこでは、設備不備による劣悪環境下で友人の死を目の当たりにする。その後、障碍者自立解放運動に参画、同時に、当時はまだ珍しかった、24時間介護の自立障碍者となる。運動組織の分裂・解体をきっかけに「態変」を旗揚げし1児の母へ。その壮絶な半生の軌跡を、切実な筆致で描く。
これはわたしたちみんなの物語なのだ。――高橋源一郎(作家)
ちくまプリマーブックスの不朽のエッセイを、28年ぶりに新装で復刻。著者が新たにあとがきを書き下ろし、作家・高橋源一郎と、当時の担当編集者・藤本由香里による寄稿を収録。
目次
プロローグ ミルク玉つぶし
第一章 母、そして幼いころ
朝鮮古典芸能の至宝=母・金紅珠のこと
出生
ポリオ発病
阪大病院南二階2号室
束の間の帰宅
第二章 障碍児施設へ
別離
孤独な子どもたち
死んでいく友達
人間のエゴを見つめて
思春期の中で
軽度か重度か―施設の現実
何のための努力?
第三章 暗いトンネル
高校へ行きたい
努力嫌いの白昼夢
学校探し
私には選挙権がない
「トイレまで行けたら学校入れたる」
帰宅―通信高校へ
遠い級友たち
死を選んだ人
第四章 運動
初めて、キム・マンリとして
「青い芝」という運動
集会か、学校か
ほな、出ていくわ
包丁を振り上げた母
「生きていくのはおまえ自身だから」
第五章 生きることのはじまり
「いのちの初夜」
二十四時間の介護
今、産まれ出た幸福
障碍者のバリケード
翳り
分裂
組織解体
第六章 自分を頼りに
野垂れ死にの精神
警察が、なぜ……
私が私であることを求めて
「帰りたいなら今すぐ帰れ!」
沖縄―再生への旅
第七章 劇団「態変」旗揚げす
「国際障害者年」って何だ?
「国際障害者年」なんてブッ飛ばせ!
「態変」動きだす
旗揚げ公演『色は臭へど』
「やるからにはメジャーになろう」
K君―「ゲリラ・クヨクヨ」のこと
第八章 宇宙的な時間
子どもが産まれる!
出産、そして育児
新しい世界―宇宙人の視点
劇団復帰
「態変」ケニアに行く
産まれること、生きること
あとがき
寄稿
はじまりの風景 高橋源一郎
天地とのインプロビゼーション 金滿里さんのこと 藤本由香里
降りそそぐ大地からの噴射を獲らまえて放つ 新装復刻版あとがきに変えて 金滿里
仕様:A6変形/上製/464p
発売:2024年06月07日
版元:人々舎
ミロコマチコ「生きることのはじまり」装画
特大ポストカードはこちら
https://uresica.net/items/68b1705bedfbca7f9e69f02c
金滿里(キム・マンリ)
身体表現芸術家。1953 年生まれの在日韓国人2 世。ポリオ(脊髄性小児麻痺)後遺症にて首から下が弛緩性麻痺の重度障碍者。身体障碍者による身体表現を先端的芸術として発信する集団・態変の主宰者。2016 年社会デザイン賞優秀賞受賞。2022 年大阪市市民表彰・文化功労部門受賞。