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「北へ」展 加藤休ミさんのお手紙

「北へ」展、参加作家の皆さんに質問をしました。
北へ向けた手紙のような文章。作品とあわせてお読みください。

回答者:加藤休ミ

1)北海道で縁のある土地
北海道全域ですね。最も緑を感じるおすすめの方法は散策やドライブではなく、新千歳空港から釧路空港に移動するプロペラ機に乗ることです。6月から8月にかけての山の緑が深い時期が良いでしょう。フライト時間はわずか40分、小型飛行機は雲の上までは飛ばず、機内の窓からの眺めはまるで鳥になったように深緑色の山と北海道の地形が見えます。十勝平野あたりまで来ると太平洋の海も見えてきます。陸へと目を移していくと地球全部を肌で感じとれるような大層おおらかな気持ちになれるでしょう。
もう1箇所は、阿寒の森。 道東阿寒湖畔で、自然のコースを歩けます。2022年に友人たちと、ネイチャーガイドコースを外れ野生動物になったように歩き回ったことがあります。大地が誕生する場所はこうゆう所からかもしれない。なんていう静寂な森のなか。
これは「阿寒の森」とうタイトルに描いています。

2)北海道でおすすめの場所(上記以外で)
道東、野付半島 
北方四島の一つがすぐそこに見えます。瀬戸内海を挟んだ四国と本州を比べても、国後島の方が近いだろうと思うほどすぐ目の前に島。 国境なんて人の勝手ですわ。
あと、釧路。

3)北海道で行ってみたい場所
熊の冬眠する巣穴

4)おすすめの食べ物
・興部牛乳(なんて読むでしょう? A:おこっぺぎゅうにゅう)

・コゴミとフキ 
山菜採りに行こう。コゴミは渦巻きの中の葉を取り除くときが楽しく茹でて食べる(茹ですぎ注意)。フキはごぼうくらい太くて、アク抜きしないと食べにくいほどの野生適なのを採る。ちなみに足寄出身の松山千春は彼より背の高いフキと写真を撮るほど、フキ(ワランブキというらしい)は有名だけど、そんなに大きいフキはわたしは好まぬ。

5)思い出の土地や出会いなど教えてください
1976年に生まれて、18歳まで北海道釧路市で暮らしました。
祖母の母の代に函館から釧路へ移住してきたそうです。 先代は函館で商売を、販路を釧路に移し家具の商いで繁盛したそうです。
祖母は戦後、栄はじめた釧路の湿地帯(国定公園よりうんと街に近い場所だろう)の土地を購入し、いまは母が住んでいる実家は、当時、土地の境界線もなんとなくだったようで、境界の杭が倒れて隣家と揉めたとか色々聞いたことはありあすが、それでもその土地は明らかに祖母からスタートしたという事実が、私には開拓民の子孫感が増すのです。
今になって思うと、子どもの多かった時代、動物園や遊園地的なものが出来始めた良い頃で、駅前も人が多くて祭り事やイベントも賑わっていた。 とても良い時代に釧路で暮らしていたのだと思う。
毎年8月15日に釧路から、世界の平和を願うセレモニーをしています。
「ナイヤガラししゃも」ししゃものTシャツを着て一列に並んでいます。釧路のためになればと希望を持ちつつ続けています。

加藤休ミ Yasumi Kato
1976年生まれ。北海道釧路市出身。クレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで、食べ物のリアルでおいしそうな描写が得意。絵本、挿画、画文などで活動しながら、クレヨン画を追求する。
http://katoyasumi.exblog.jp

「北へ」
会期:2024年 9月19日(木)~10月7日(月)
会場:URESICA

生まれ故郷だったり、作品が生まれるきっかけとなった場所だったり
「北海道」という土地に縁のある作家による作品展

《参加作家》
加藤休ミ きくちちき 白石ちえこ 高橋宏美(uzura)
どいかや 本濃研太 松田奈那子 水沢そら
特別出展:大谷一良
http://uresica.com/gallery.html#tothenorth