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「北へ」展 白石ちえこさんのお手紙

「北へ」展、参加作家の皆さんに質問をしました。
北へ向けた手紙のような文章。作品とあわせてお読みください。

回答者:白石ちえこ

1)北海道で縁のある土地(通った場所)
道東 主に根室、別海町

2)北海道でおすすめの場所(上記以外で)
網走 
音威子府 砂澤ビッキ アトリエ3モア
(エコミュージアム おさしまセンター)

3)北海道で行ってみたい場所
利尻、礼文

4)おすすめの食べ物
◎オランダせんべい くせになる素朴な味わい
◎根室花咲港のホームラン焼き いくつも食べられるおいしさ
◎根室のコンビニ タイエーのやきとり弁当
注文してから焼いてくれるできたてのお弁当なのだか、中身はやきとりでなく豚串です

5)思い出の土地や出会いなど教えてください
2011年の震災の後、何を撮ればいいのかわからなくなっていました。そんな時、グループ展のために訪れた冬の北海道で風景と出会い、ここならまた何か撮れるかもしれない、と直感がありました。翌冬、カメラを準備して道東へ向かいましたが、はじめて見る白い大地は広大で、一人ぽつんと放り出されたようで、どこにレンズを向ければいいのかわかりませんでした。それでも冬の道東の美しさと解放感に包まれて、どんどん惹きつけられていきました。
そんな時、薄曇りの空の下、鹿の群れが凍った汽水湖を列になって渡る光景に出会いました。
何か神聖な、大事なものを見てしまったような気がして、気持ちがシンとなりました。
わたしも鹿のあとを追って、ついて行きたくなりました。
それから鹿は、私と大きな自然を繋げてくれる媒介者のように、旅のところどころでわたしを導いてくれました。

震災のあとで、はじめて深呼吸できた旅の冬の日々でした。

『鹿渡り』 2015〜2020年撮影

白石ちえこ Chieko Shiraishi
1968年 神奈川県横須賀生まれ。1991年よりアジアを巡る旅の中で写真を撮りはじめる。1995年に町主催のモノクロ暗室引き伸し講座に参加。日常や旅の中にある記憶の原風景を求め2000年頃から作品制作をはじめる。2009年より鶏卵紙、サイアノタイプの日光写真、2011年より1920~30年代にアマチュアカメラマンの間で流行し、現在では廃れてしまった〝雑巾がけ〟と呼ばれる古典技法を用いた作品制作をはじめる。2015年から冬の北海道・道東に通い、エゾシカを中心に北海道の自然を追い求める。2023〜2024年にカナダケベック州の東端、ガスぺ半島で開催される「Rencontres internationales de la photographie en Gaspésie」に参加。レジデンシー制作も行う。著書に『サボテンとしっぽ』(冬青社)、『島影』(蒼穹舎)、『鹿渡り』(蒼穹舎)。

「北へ」
会期:2024年 9月19日(木)~10月7日(月)
会場:URESICA

生まれ故郷だったり、作品が生まれるきっかけとなった場所だったり
「北海道」という土地に縁のある作家による作品展

《参加作家》
加藤休ミ きくちちき 白石ちえこ 高橋宏美(uzura)
どいかや 本濃研太 松田奈那子 水沢そら
特別出展:大谷一良
http://uresica.com/gallery.html#tothenorth