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「北へ」展 水沢そらさんのお手紙

「北へ」展、参加作家の皆さんに質問をしました。
北へ向けた手紙のような文章。作品とあわせてお読みください。

回答者:水沢そら

1)北海道で縁のある土地
函館とその近郊の街。じつは北海道は函館からみて旭川までしか行ったことがありません。そして函館近郊で縁のある場所、となるとそれは実家や通った高校が近くということもあり、五稜郭公園ということになります。僕が函館で暮らしていた当時は新撰組ブームもまだなく、箱館戦争における賊軍の最後の砦だったせいか、必要最低限の整備くらいしかされない、観光名所というよりはおだやかな市民公園といった趣きで大好きな場所でした。

2)北海道でおすすめの場所(上記以外で)
他の地域をあまり知らないのですが、厚沢部は蕎麦とメークインがなまら旨いです。
ちなみに最近厚沢部の農家さんからお米を直接購入しています。

3)北海道で行ってみたい場所
知床や稚内、根室など「果て」に憧れます。道南も市街地を外れるとすぐに雄大な自然が目の前に広がりますが、またそれとはきっと違う道東、道北の大自然に身を浸してみたいです。あとオンネトーも!

4)おすすめの食べ物
やっぱり魚介系でしょうかー。でも肉も野菜もぜんぶ美味しいです。あと北海道は蕎麦の名産地でもあるので、もし東京のお蕎麦屋さんでも新そばの季節で北海道産の蕎麦をみつけたらぜひ試してみてください。あと松前産の岩海苔を使ったおにぎりは絶品です。のりだんだんもいいですが、僕はどっちかというとおにぎり派です。できれば筋子おにぎりで。おすすめのお店はありすぎてとてもここには書けないので、もし函館にいらっしゃる機会があれば、どなたでもお気軽に僕に直接聞いてください笑

5)思い出の土地や出会いなど教えてください
自分は函館のことしかわかりませんが、東京に出てくる以前は自分の生まれ育ったこの街が実は苦手でした。楽しみも少なく一刻も早く都会へ飛び出したかった。果たしてそうして出てきた東京はなんでもあったし、休むことを知らない、常に覚醒している文字通りの大都会で、僕はそんな東京が今でも大好きだし、住んでいてたまに疲れることはあってもそれは心地よい疲労感でさえあります。ただ不思議なことにここ数年、函館へ帰省するたびに少しずつですが、この街へ心を置いてくるようになった自分に気がつきました。でもそれはけっして里心とかノスタルジーの類ではなく、きっと昭和、平成、あのバカ騒ぎの時代を経たのちに、ようやく現れた「虚飾が外れた本当の函館の素顔」のようなものがようやく素顔を表してきてくれたからなのかな、と思っています。そして帰省するたびに函館の文化、自然、人の豊かさに触れ、この街にまた恋焦がれるようになったのです。

水沢そら Sora Mizusawa
函館市生まれ。高校卒業とともに上京し、以来都内在住。
バンタンデザイン研究所を卒業後、MJイラストレーションズにて学び2013年よりイラストレーターとして活動開始。現在は書籍装画や雑誌、広告、音楽ジャケットなどの分野で活動中。主な仕事として『ネコシェフ』(株式会社シュクレイ)アートワーク全般、『四季4部作』(アリ・スミス著/新潮社)装画など。また2022年には初のまんが作品『ちゃっくん』(東南西北kiken)を出版。

「北へ」
会期:2024年 9月19日(木)~10月7日(月)
会場:URESICA

生まれ故郷だったり、作品が生まれるきっかけとなった場所だったり
「北海道」という土地に縁のある作家による作品展

《参加作家》
加藤休ミ きくちちき 白石ちえこ 高橋宏美(uzura)
どいかや 本濃研太 松田奈那子 水沢そら
特別出展:大谷一良
http://uresica.com/gallery.html#tothenorth