『すごい長崎―日本を創った「辺境」の秘密―』
著:下妻みどり
装画:カシワイ
装幀:新潮社装幀室
《出版社の紹介文より》
日本の西端、アジアの東端。世界と日本をつないできた縁側のような “はじっこ”の町は、とてつもなく奥が深かった。実は忠臣蔵の元祖? 踏み絵と「くんち」の意外な関係とは? 知られざる「日本初」の数々――在住半世紀の地元作家が地理と歴史を掘り分け、教科書ではわからない独特の魅力へと誘う。充実のガイド付き。
◎目次
はじめに
第一講
長崎誕生
長い岬から長崎が生まれた/ザビエルはどこを目指して来たのか/移民たちが六つの町を作る/教会の跡地には重要な施設がある/歴史が上書きされていく岬
第二講
小ローマと呼ばれた町
パンと肉の香りが漂う町/四人の少年がローマへ行って戻ってみると/真冬の一ヶ月を裸足で引き回された二十六聖人/長崎甚左衛門、長崎を去る/イエズス会VS托鉢修道会/一六一四年に向け、高まる禁教のうねり/死者も出た聖行列の熱狂/次々と壊されていく教会/激化する弾圧と処刑/禁教後も“修道院”だったクルス町の牢屋
第三講
「絵踏み」で踏んだのは心
四人の少年たちと教会はどうなったのか/絵踏みの試練は幕末まで続いた/一六三四年に生まれたくんちと日ひ繰ぐり/長崎のシンボルとなる橋と島/島原・天草の乱はなぜ起きたのか
第四講
和華蘭の町は貿易センター
出島は収容所だった/町を焼き尽くした寛かん文ぶんの大火/祭りに沸く国防最前線/盆と暮れにはボーナスのお楽しみ/お墓も祭りも中国風が流行/外貨を獲得する遊郭と遊女たち/「忠臣蔵」の元祖は長崎だったのか/商売も学問も充実の長崎ライフ/ロシアとイギリス、二つの入港事件/出島がピンチ! オランダ船途絶える/シーボルトはスパイだったのか/新時代の呼び声となった砲声
第五講
開国と近代化、そして原爆
二つの世界遺産がある町/八万四千日ぶりの信徒発見/三千四百人が流された浦上四番崩れ/ハムも写真も長崎から/富国強兵の波に浮かぶ軍艦島/多様性きわまる、ちゃんぽんの時代/芥川龍之介をもてなした“銅座の殿様”/好景気の町は、芝居小屋も大賑わい/一大軍需産業都市、すべてが戦争へ/雲の隙間から落とされた原子爆弾
第六講
傷を恵みに変える長崎
よみがえった鐘の音が響く/「祈りの長崎」と言われる理由/消えた浦上町の名前/戦後十年を「ぎりぎりに生きる」被爆者/そして歌が生まれる――美輪明宏、さだまさし、福山雅治/長崎で起こることは日本中で起こる?/二人の市長が撃たれた町/約五十年で人口は二割減/伝えられていく殉教の記憶/くんち見たさに六万人、工場跡はスタジアムに/これぞ異国情緒、賑やかな四季の祭り/いまこそ“辺境”の町へ
おわりに
長崎を深く知るためのガイド
おもな参考文献
出版社:新潮社
仕様:四六判/224p
下妻みどり Midori Shimotsuma
1970年生まれ。熊本大学文学部民俗学専攻卒。ライター。長崎についてのエッセイやイラスト、雑誌・書籍・広告記事などを手がける。編著書に『長崎迷宮旅暦』『長崎おいしい歳時記』(共に書肆侃侃房)、『川原慶賀の「日本」画帳 シーボルトの絵師が描く歳時記』(弦書房)、『ながさき開港450年めぐり 田川憲の版画と歩く長崎の町と歴史』(長崎文献社)。テレビディレクターとして長崎くんちのコッコデショを取材した「太鼓山の夏~コッコデショの131日」(NBC長崎放送/2004年)は日本民間放送連盟賞優秀賞を受賞した。