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「北へ」展 本濃研太さんのお手紙

「北へ」展、参加作家の皆さんに質問をしました。
北へ向けた手紙のような文章。作品とあわせてお読みください。

回答者:本濃研太

1)北海道で縁のある土地
空知郡奈井江町
僕は親の仕事の都合で、北海道の空知地方(真ん中あたり)を転々としていましたが、小学校5年から高校3年までを過ごした空知郡の奈井江町が出身地だと思っています。奈井江町は北海道の大動脈!札幌(みなさんご存知の!)から旭川(動物園が有名です!)を繋ぐ「国道12号線!」の途中にあります!が、車で1分で通り過ぎれてしまいます。何もない小さな町です。自分の思い出だけの、えこひいきの町です。

2)北海道でおすすめの場所(上記以外で)
北海道開拓の村
札幌の外れにある明治時代あたりからの北海道の開拓が始まった頃の建物がたくさん移築してある野外博物館です。おそらく当時のけっこうよい暮らしの建物が並んでいますが、どれもスカスカですごい寒そうです。では、よい暮らしじゃないほうの人々は、いったいどんなジャバジャバな家に住んで、どうやって生き延びてきたのか?とも思わされます。僕たちの先祖がアイヌの人々の土地を奪ってしまったんだ、という申し訳なさもとてもありますが、寒さの中生き延びて、僕たちの今の暮らしに繋げてくれた北海道を開拓した人々の苦労にとても感謝させられます。と、僕はとても感じた、とてもおススメの場所です。

3)北海道で行ってみたい場所
知床あたり
北海道で暮らす人々の多くは、自分の住んでるあたり以外は「だいたいあの当たりかな?」ぐらいの認識しかないように僕は感じます。小さい頃に夏休みキャンプ旅で行ったことがあるらしいですが、まったく覚えてないので、いわゆる「北海道!」らしい?北海道のだいたい左腕あたりに、また行ってみたいです。

4)おすすめの食べ物
北海道の人々は、ジンギスカンはお店で食べるのではなく、ほぼ庭でみんなでバーベキュースタイルで食べます。
しかしその庭でのジンギスカンは、食材の調達、炭の準備、火おこし、肉を焼く、近所の人が集まってくる、おにぎりの用意、煙の方向の注意、後片付け、などなどたくさんの仕事があります。子供の頃は、僕は、なんせ末っ子なので、それを父母兄がやっているその様子をゲームボーイをやりながら見て待っているだけでしたが、大人になってみると、火がなかなか起きなかったり、肉や炭が足りなくなったり、子供に食べさせたり、ビールを飲まなくちゃならなかったり、ベロベロで後片付けをしたりで忙しいです。親、もしくはお世話焼いてくれる人がやってくれる「庭でたべるジンギスカン」が一番美味しいです。と思ったけど「忙しいな〜ほぼ肉食べれないな〜煙いな〜」と、みんなのお世話をやりながら(やってるつもりになりながら)、ビール飲んでるのも楽しいので、ほんとの北海道で一番のおススメは、その野外での、そのビールなのかもしれません。
と、ツラツラと書いていて、ほとんど北海道の話ではなく、ほとんど自分の話でした。
僕のほとんどは北海道でした。

本濃研太 Genta Honno
1978年北海道生まれ。神奈川県在住。2003年より、ダンボールで成形し、アクリル絵の具で着彩した、繊細かつ大雑把な”ダンボール彫刻”を中心に活動。個展やグループ展での発表のほか演劇、音楽、ファッションなどとのコラボレーションも行っている。2012年に宮城県「風の沢ミュージアム」、2015年に千葉県「ふなばしアンデルセン公園子ども美術館」で大規模の展覧会を開催。また、調布市せんがわ劇場にて公演された演劇集団「風煉ダンス」による2012年「ゲシュタル島崩壊記」、2014年「まつろわぬ民」公演の舞台美術を担当。2020年「第23回岡本太郎現代芸術賞」特別賞受賞。

「北へ」
会期:2024年 9月19日(木)~10月7日(月)
会場:URESICA

生まれ故郷だったり、作品が生まれるきっかけとなった場所だったり
「北海道」という土地に縁のある作家による作品展

《参加作家》
加藤休ミ きくちちき 白石ちえこ 高橋宏美(uzura)
どいかや 本濃研太 松田奈那子 水沢そら
特別出展:大谷一良
http://uresica.com/gallery.html#tothenorth