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「北へ」展 どいかやさんのお手紙

「北へ」展、参加作家の皆さんに質問をしました。
北へ向けた手紙のような文章。作品とあわせてお読みください。

回答者:どいかや

北海道で縁のある土地はというと、いちばんは函館です。母の故郷で、今も親戚が住んでいます。
子どものころ、夏休みには毎年母の実家(当時祖母が1人で住んでいました)に帰っていました。海のすぐ近くの古くて小さいはっきり言ってボロ屋で、トイレも外にありボットン。ご先祖さまたちの写真が飾ってあって、焼酎漬けの大きなマムシ(切り傷や虫さされによく効く)なんかも置いてあり、子ども心にちょっとこわくもあり、けどなんだかワクワクする家でした。路地を抜け大きな道路を横切るともう砂浜でしたので、家から水着で飛び出していました。いとこやおじさんたちと海でほっき貝をとったりして(その後禁止になった)、私にとって真っ先に浮かぶのは北海道イコール夏の海の思い出です。

食べ物については、私の大好物はジャガイモ、たらこ、トウモロコシ、イカ、アイスクリーム…北海道の影響かな?と思います。芋もちも良いですね。アイヌ料理のコンプシトを習ったことがありますが、昆布で作ったタレが美味しくてオススメです。

美大時代に友人4人と青春18きっぷで北海道の旅(小樽や白老、森など)をしたり、その友人の中の1人が結婚を機に夕張郡に移住して何度か遊びに行っているし、最近は原画展、講演会で各地(斜里、北見、興部、標茶、厚岸…他)を訪れたり、なにかと北海道とご縁がありうれしいです。

大人になって日本の先住民アイヌの文化に興味を持ったのも、母のルーツが北海道にあることがきっかけです。
12、3年ほど前に、ひとり旅で二風谷に行った際は、携帯電話もまだ持っていなかったし腕時計も忘れハプニング続きでしたが良い思い出です。アイヌの人がやっている民宿に泊まり、博物館や資料館を訪れました。その時は「ひまなこなべ」の絵本を描かせてもらうとは思ってもいなかったのですが、その後絵本のお話が決まり、取材や打ち合わせで二風谷にまた2度ほど訪れました。さらにアイヌの人たちの温かさ、楽しさに触れることができたし、受け継がれている大切なものを垣間見ることができました。

私にとって北海道はまだまだ知らないことばかりですが、常に憧れの大地で、大自然とそこに暮らす動物たちには畏敬の念を抱かずにいられません。今回の展示ではそんな思いを込めて神さまたちを描きました。
昨年、夕張郡の友人宅を拠点に支笏湖の温泉宿に1人で泊まりました。あの辺りはまたゆっくり行ってみたいな〜と思うし、洞爺湖も行ってみたいし、六花の森の坂本直行記念館、知里幸恵記念館…とにかく他にも行ってみたいところは山ほどあります。北海道は広いので!

どいかや Kaya Doi
1969年、東京都生まれ。千葉県在住。東京造形大学デザイン学科卒。「あとさき塾」で絵本作りを学ぶ。1996年に絵本作家デビュー。『チリとチリリ』シリーズ(アリス館)をはじめ、多数の絵本を手がける。2017年、『アイヌのむかしばなし ひまなこなべ』(文・萱野茂、あすなろ書房)で産経児童出版文化賞産経新聞社賞を受賞。自然や生きものへの愛情、人と動物たちとのあたたかなふれあいを描きつづけ、自然あふれる森のなかで保護猫たちと暮らす。

「北へ」
会期:2024年 9月19日(木)~10月7日(月)
会場:URESICA

生まれ故郷だったり、作品が生まれるきっかけとなった場所だったり
「北海道」という土地に縁のある作家による作品展

《参加作家》
加藤休ミ きくちちき 白石ちえこ 高橋宏美(uzura)
どいかや 本濃研太 松田奈那子 水沢そら
特別出展:大谷一良
http://uresica.com/gallery.html#tothenorth